文部科学省は2020年9月15日、大学などの後期授業の実施方針について調査結果を公表した。ほぼすべての大学が対面授業を実施予定とし、「全面対面」は19.3%、「対面と遠隔の併用」は80.1%。約6割の大学が「おおむね全員の学生が週2日以上通学できる」と回答した。 「大学等における後期等の授業の実施方針等に関する調査」は8月25日~9月11日、文部科学省が全国の国公私立大学と高等専門学校を対象に実施したもの。内訳は、国立大86校、公立大102校、私立大815校、高等専門学校57校の計1,060校。公立大と私立大には短期大学を含み、通信制課程のみを持つ大学は除いている。 2020年度後期における授業の実施方針は、ほぼすべての大学などが対面による授業を実施予定。このうち、「対面・遠隔を併用」が80.1%を占めた。「全面対面」と回答したのは19.3%。学校種別では、「高等専門学校」が56.1%と特に高く、「私立大学」19.6%、「公立大学」9.8%、「国立大学」3.5%であった。7月1日時点の状況と比較すると、「全面対面」は3.1ポイント上昇している。 対面と遠隔を併用予定の大学に対し、併用割合を尋ねた結果は、「ほとんど対面」20.4%、「7割が対面」11.1%、「おおむね半々」25.0%、「3割が対面」24.6%、「ほとんど遠隔」19.0%。約6割が授業全体のおおむね半分以上で対面授業を実施予定とした。併用の考え方では、「実験・実技などは対面」88.0%、「ゼミなどは対面」62.3%などが多かった。 対面授業の再開と感染予防を両立する例として、「指導上の必要性や学生からの要望を踏まえ、優先順位を設けて対面授業を順次実施している」(東京藝術大)、「クラスの少人数化による感染対策と対面授業を両立している」(浜松医科大)、「1年生が履修する科目について優先的に対面授業を実施する」(高知工科大)などの取組みも紹介している。 学内施設の利用可否については、一部利用可能を含めて、すべての大学などが後期から施設利用を可能予定としており、「すでに全面的に可能」33.9%、「すでに一部可能」65.7%、「後期から利用可能」0.5%。制限の具体的内容は、「許可・申請制など手続」58.8%、「利用目的による制限」55.0%、「特定の属性の学生のみ」25.1%、「学生/教職員での区別」18.7%であった。 2020年度後期において、どの程度の学生が1週間に2日以上キャンパスを訪れることができると見込まれるかとの質問には、58.4%が「おおむねすべて」と回答した。「3分の2程度」「半分程度」は各11.6%、「半分未満」は18.3%、「原則入構しない」は0.1%だった。 新型コロナウイルス感染症の影響で不安や困難を抱えている学生のメンタルヘルスケアの取組みについて、「相談窓口の設置」と回答した大学などは93.5%。このほか、「専門家との連携」83.3%、「電話・メールなどで相談」81.7%、「就職活動の相談強化」61.3%と続いた。