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【相談対応Q&A】授業中に電子辞書を使いたい

 クラス担任として豊富な経験がある鈴木邦明氏に、学校へ寄せられるさまざまな相談に対応する際のポイントを聞いた。第137回のテーマは「授業中に電子辞書を使いたい」。

事例 その他
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 学校に寄せられるさまざまな相談やクレーム。保護者や地域からの相談に先生はどのように対応するのが良いだろうか?クラス担任として豊富な経験がある鈴木邦明氏に、学校へ寄せられるさまざまな相談に対応する際のポイントを聞いた。第137回のテーマは「授業中に電子辞書を使いたい」。

GIGAスクール構想により、
学びの姿が変化

 GIGAスクール構想による一人一台端末が整備されたことにより、子供の学びの姿がさまざまに変化しました。学習に関するものでは、アプリなどを用い、個に応じた学びがしやすくなっています。また、電子教科書の導入も進みつつあります。学習以外では、連絡(欠席など)がオンラインでできるようになった学校も多いです。

辞書に関する学び

 そういった中で「電子辞書を使いたい」ということが話題となることがあります。これまでは紙の辞書を使うことが一般的でした。辞書に関する学びは、小学3年の国語の学習内容とされています。「小学校学習指導要領(平成29年告示)解説 国語編」には次のように書かれています。

 「辞書や事典の使い方を理解し使うことは、情報化社会において必要な情報を収集したり、語彙を豊かにしたりするために必要な『知識及び技能』である。辞書の利用については、国語辞典や漢字辞典などの使い方を理解するとともに、必要なときにはいつでも辞書が手元にあり使えるような環境をつくっておくことが重要である。事典の利用については、目的に応じていろいろな種類の事典を選んだり、目次や索引を利用して情報を得たりすることが重要である。辞書や事典については、調べる学習などにおいて活用できるようにすることが求められ、国語科に限らず、他の教科等の調べる学習や日常生活の中でも積極的に利用できるようにすることが大切である。」

 上の文は基本的には紙の辞書の使用を想定しながら作られたと思われますが、電子辞書などでも違和感のない内容です。平成29年に告示されたものですが、デジタル機器の使用に関して過渡期にある状況で、電子辞書の活用などを意識しながら作られた文章でしょう。

電子辞書の長所

 電子辞書は、GIGA端末などと相性が良いです。英語では、発音も実際の音を聞きながら確認することも可能です。電子辞書は、小さな手帳ほどのサイズの専用機のものと、オンライン辞書などがあります。オンライン辞書はスマホなどで活用することも可能です。持ち運びの手間を省くことができるという良さがあります。はじめに書いたように子供の学びにおいて、デジタル機器を使用する比重が高まっています。そういった中で電子辞書を使っていくということは自然な流れでしょう。

紙の辞書の長所

 ただ紙の辞書にはその良さがあることも事実です。約25年前から「辞書引き学習」が行われています。考案した深谷圭助先生は辞書協会のホームページで次のように述べています。

 「辞書引き学習は、従来の辞典指導で行われている、『知らない言葉』を調べるために、調べる方法を教えるのではありません。『知っている言葉』を辞書から読み取らせることで、『知っている』という認識を揺さぶることで、言葉の面白さや言葉を正しく使うことの大切さに気付かせる学び方です。(中略)辞書を読んで知っている言葉に出合う活動は、一目で沢山の言葉に触れられる紙の辞典の方が取り組みやすいと思いますが、タブレット等の端末でも、紙の辞書の良さを活かしたアプリケーションの開発を行っていきたいと思っています。紙の辞書の良さを再認識し、引言葉の学習の現場で活用されることを願っています。」

 電子辞書と紙の辞書を比べた時、扱い方やねらいなどに違う部分があります。学校としては何をねらうのかということをきちんと考え、どのように辞書を使わせていくのかを検討していくことが必要でしょう。

 本企画では、読者の皆さまからの質問を受け付けています。下記のボタンをクリックして表示されるフォームより送信ください。実際に学校へ寄せられた相談のほか、保護者が学校へ伝えた相談など、鈴木先生に対応方法を聞いてみたい相談事例を募集します。

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《鈴木邦明》

鈴木邦明

帝京平成大学 人文社会学部児童学科 准教授。1971年神奈川県平塚市生まれ。1995年東京学芸大学教育学部卒業。2017年放送大学大学院文化科学研究科修了。神奈川県横浜市と埼玉県深谷市の公立小学校に計22年間勤務。2018年からは帝京平成大学において教員養成に携わっている。「学校と家庭をつなぐ」をテーマに保護者向けにも積極的に情報を発信している。

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