学校に寄せられるさまざまな相談やクレーム。保護者や地域からの相談に先生はどのように対応するのが良いだろうか?クラス担任として豊富な経験がある鈴木邦明氏に、学校へ寄せられるさまざまな相談に対応する際のポイントを聞いた。第112回のテーマは「ランドセルでなくリュックにしたい」。
通学鞄は各家庭で適切なものを選ぶ
「ランドセル」は小学校に入学した1年生を象徴するアイテムです。入学を控えた孫に祖父母がランドセルを買い、プレゼントするということは孫にとっても、祖父母にとっても嬉しいことなのだと思います。ただその「ランドセル」がきっかけでいくつかの問題が生じてしまっているケースもあります。
小学校に通う際の鞄に関して、「ランドセル」でなければいけないという決まりのある学校は非常に少数です。小学校への入学に向けて「入学説明会」においても、多くの学校(公立学校)では鞄に関しての指定はないと説明をしていると思われます。私立学校等では、制服と同様に鞄の指定がある場合もあります。
小学生の荷物が重くなり、体に負担も
教科書のサイズが大きくなったことやページ数が増えたこと等によって、教科書が重くなりました。また、コロナの流行の後は、GIGA端末(タブレット/PC)を自宅へ持ち帰る学校も増えています。そういったことが小学生の荷物が重くなることと関係しています。
また、ランドセル自体に重さがあります。ランドセルは、6年間使うことを踏まえ、丈夫な作りになっています。素材である皮革は丈夫ですが重いです。そういったことと関連し、子供の首、肩、腰の痛み等を訴えるケースが見られます。
ところで、学校に「ランドセルでなくリュックにしたい」という相談があった場合、学校としては「学校としてはランドセルの指定はしていない」ということを伝えていくべきでしょう。これまでもランドセルを指定していた訳ではないのに、多くの人が慣習のような感じでランドセルを選んでいました。そういったことを説明し、各家庭で適切なものを選ぶよう伝えると良いでしょう。
ただ通学用の鞄はどういったものでも良い訳ではありません。発育期の子供が毎日使用することを考えると一方の肩に負担が掛かることのないようにリュックタイプが良いでしょう。また、ランドセルほどではないけれどもある程度の丈夫さも必要でしょう。そういったことを説明したうえで、各家庭の判断で選んでもらうようにしていくと良いでしょう。
複数のメーカーが通学用リュックを販売
この数年、いくつかのメーカーがランドセルの代わりになる通学用リュックの販売をしています。ランドセルと似た機能があり、素材は軽量なナイロン等で作られているものが多いです。デザインやカラー等もランドセルよりも豊富で、子供の好みのものを選ぶこともしやすいです。価格もランドセルと比べ、安価であるものが多いです。ランドセルであれば、6年間使うことを想定して選びます。リュックの場合はそういった形ではなく、途中で買い換えることを想定し、1年時には小さめ(軽め)のものを買うという方法もあります。
小学校の入学に向けた説明会は秋に行われることが多いです。その時期にはすでにランドセルを買っている家庭もあります。ただ学校が説明会において他の選択肢(リュック等)があることを伝えていくことは、次の年、その次の年のことを考えた際、大切なことだと思います。
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